テーマ:中国

第113回 台湾人幹部の引き抜き その2

 台湾の親会社からこちら中国の工場に派遣されてくる台湾人幹部の任期は三年で、この製造責任者も三年の任期満了寸前になっていました。彼はこちらで結婚し、子供もできました。このまま台湾に帰るとなると、中国大陸の奥さんはいっしょに帰れません。  この当時はまだ、中国と台湾は政治的緊張が続いており、台湾人が中国大陸の女性と結婚した場合、奥さ…
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第112回 台湾人幹部の引き抜き その1

 ポパイ総経理の時代になると、台湾人の訪問者が頻繁に来るようになりました。後で分かったのですが、彼らはかつては台湾の親会社でいっしょに働いていた同僚だったのです。現在は、台湾の親会社を退職して数名の出資者とともに中国大陸に会社を設立したのでした。もちろん彼らの得意な分野はプレス業ですから、私たちとは同業であり、競争相手でもありました。 …
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第111回 ポパイ総経理の求人旅行 その4

 それからしばらくすると、かの地から10数名の若者がやって来ました。女性も数名おり、見たところなかなか頭のよさそうな若者ばかりでした。さすがポパイ総経理が直接行って選んだだけのことはあると思いました。  これら若者はだんだんと会社の仕事に慣れてきて、そしてある日のこと、次のように尋ねたのでした。  あのう、総経理の秘書はどち…
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第110回 ポパイ総経理の求人旅行 その3

 さあ、注文がたくさんやって来ました。いまのワーカーの人数では足りません。特に、プレス工、金型工が必要になりました。そこでポパイ総経理の登場となります。求人旅行はポパイ総経理の楽しみであり、また特権でもあるのです。  毎日、生産報告を聞いて、不良が発生した、客先から文句が来た、董事長からしかられた、などといううんざりした日常生活か…
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第109回 ポパイ総経理の求人旅行 その2

 このように多くの若者が深セン地区に集まってくるのですが、彼らは深センの地での生活に慣れてくると、すこしでも給料のよい所へと流れてゆき、会社側としては使いづらい人材に映るのです。よく言えば、彼らは賢くなっているということであり、悪く言えばすれてきたということになります。  いつ辞めるかもしれないような不安定な人材は、プレス会社のよ…
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緊急第20回 アキレス腱断裂 結びの巻

 10月15日のアキレス腱断裂からようやく二ヶ月になりました。まだ傷口は完全には癒着をしておらず、依然としてお風呂に入るのは不便な状態が続いておりますが、何とか一人で正常な生活ができるまでに回復いたしました。これもひとえに多くの方々のお陰だと厚く感謝しております。この場をお借りいたしましてお礼を申し上げます。  今回の思わぬ出来事…
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緊急第19回 アキレス腱断裂 リハビリの巻 その8

 今回のアキレス腱断裂では、友人から「年寄りの冷や水、他山の石」と揶揄されている。年甲斐もなく張り切りすぎるから、そんなことになるのさ。年相応にしておれば、そんなことにもならなかったのに。確かにそうかもしれない。  自分にはアキレス腱断裂などはあり得ないと思っていたが、現実に起きてみると、自分もそろそろ年なのか、あまり無理もできな…
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緊急第18回 アキレス腱断裂 リハビリの巻 その7

 手術より六週目。傷口はほぼ癒着し、ガーゼは必要なし。腫れもどんどん引いており、足首をくるくる回しても痛みはなくなった。右足一本で立つこともできる。片足で立てるということは、手で壁とか机につかまり身体を支える必要がなく、いつでもどこでも靴をはいたり、ズボンを替えたり自由にできる。やっと当たり前のことが不自由なくできるようになった。 …
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緊急第17回 アキレス腱断裂 リハビリの巻 その6

 手術より五週目。手術部の傷口は徐々に癒着しており、かさぶた状になってきた。傷口の周りが痒くなっており、どんどん回復していると思われる。軽くアルコール消毒をし、上からガーゼを当ててテープで留めるだけ。足の甲の表面には青い静脈も見られるようになった。  いよいよ松葉杖なしで一日を送ることにする。松葉杖があれば、どうしても頼ることにな…
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緊急第16回 アキレス腱断裂 リハビリの巻 その5

 11月18日土曜日。今日は香港に行く必要がある。香港は無数に階段があり、階段の上がり下がりは恐怖を感じる。必ず松葉杖が必要。  中国から香港へはいろいろなルートがあるが、足がこんな状態なので、香港まで直通のバスで向うことにした。直通と言っても、二ヶ所のイミグレを通過する必要があり、その都度下車をしてパスポートのチェックを受けなけ…
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緊急第15回 アキレス腱断裂 リハビリの巻 その4

 11月13日。手術より四週目。いよいよ松葉杖なしでの歩行練習を開始する。  万が一、足が滑ってころびでもすれば、痛めた患部を更に悪くするかもしれない。恐る恐る一歩ずつゆっくりと歩く。右足を大きく前に送り出し、左足を右足まで引き寄せる。よっこらしょ、よっこらしょと自分に言い聞かせながら足を送り出す。広い工場内を一回歩いただけで疲れ…
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緊急第14回 アキレス腱断裂 リハビリの巻 その3

 11月6日。手術から三週目。いよいよ歩行開始。もちろん松葉杖頼み。  リハビリのための歩行は、工場内が一番最適。工場の床はまったくの平坦で何の障害物もなく、憂いなく歩行に専念できる。片道五十メートルは優にあり、そこを松葉杖を頼りに一歩一歩確かめながらの歩行練習。数回往復すると、足全体が痛くなるので練習はそこまでとする。  …
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緊急第8回 アキレス腱断裂 療養の巻 その3

 ありがたかったこと。テニス仲間からの本の差し入れ。文芸春秋、その他数冊の文庫本。また、果物の差し入れ。食べやすいようにと、梨をきれいに切ってパックでいただく。うまかった。  友人よりの差し入れ。りんご。うまくて、全部むしゃむしゃと食べてしまった。みかん。これも食べてしまった。スイカの差し入れには困った。包丁も何もなく、食べようが…
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緊急第7回 アキレス腱断裂 療養の巻 その2

 手術執刀医がやって来た。傷口の消毒とのことで、包帯が解かれ、初めて手術部分を見る。  ギブスは足の甲に沿ってつけられている。ちょうどサッカーのすねあて部のようで、手術部にはまったく何もなく、傷口にガーゼが当てられているだけ。手術部の長さは縦に約8センチぐらい。驚いたのは、豚肉の塊をタコ糸のようなもので縛っているかのように黒くて太…
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緊急第6回 アキレス腱断裂 療養の巻 その1

 手術の翌朝。右足患部にはギブスが当てられ、膝附近まで包帯がぐるぐる巻き。足首の甲部に沿って石膏のギブスが当てられており、足首は130度くらいに反り返った状態。これはアキレス腱部をできるだけ縮めた状態にして、負荷をかけないためのもの。もしこの状態で歩こうとすれば、右足は完全に爪先立ちの状態。  狭いベッドに横たわっているため、長時…
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緊急第5回 アキレス腱断裂 手術の巻 その5

 医師の話では、アキレス腱の断裂には悪性と良性の二種類がある。  悪性の場合は、アキレス腱がかかとの根元から断裂した場合で、かかとの根元にアキレス腱を繋ぐために釘状のものを打ち込まなければならず、ギブスを取るのに六週間もかかる。良性の場合は、アキレス腱の途中で断裂しただけなので、アキレス腱同士をひっぱり繋げばよく、手術も比較的簡単…
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緊急第4回 アキレス腱断裂 手術の巻 その4

 いよいよ手術開始らしく、右足を持ち上げて、足首をぐいっと外側にひねり、かかと部を見えやすくした模様。結局二時間半外側にひねられた状態であったのと、太もも部をぎゅっと締め上げたままなので、完全に右足がしびれを切らしたような麻痺状態になり、それがだんだんと苦痛になったのを覚えている。  やがてかかと部を筆でなぞるような感触がした。て…
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緊急第3回 アキレス腱断裂 手術の巻 その3

 午後になると、非常に背の高い、すらりとした女性医師がやって来た。麻酔医師とのことで、手術のために事前に確認したいことがあると、いろいろな質問あり。過去に麻酔をしたことがあるか。アレルギー反応があるか。入れ歯をしているか、などなど。最後に麻酔に関する同意書にサインをするようにとのことで、サインを済ませて完了。  やがて看護婦がやっ…
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緊急第2回 アキレス腱断裂 手術の巻 その2

 病院は人民病院の最上階(9階)にある高級治療中心というところで、下の階の一般病棟とは完全に異なっている。高級治療中心の各部屋は空調完備でホテル並みの清潔さと快適さにあふれており、ベッド、医療機器などすべての設備は日本からの輸入品だということが一目で分る。使用説明のシールがすべて日本語。点滴用の薬剤を吊るしておくためのスタンドでさえ日本…
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緊急第1回 アキレス腱断裂 手術の巻 その1

 これまで1998年からの体験記を書いておりましたが、この10月に不覚にもアキレス腱を断裂してしまい、体験記はしばらく中断して、思いもよらぬ出来事をお話させていただき、すこしばかり皆さまのお役に立てれば幸いです。  10月15日の日曜日の朝のこと。いつものようにテニスをして動き回っていたところ、右足に突然激痛が走り、一瞬ガクンと…
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第107回 はっぱちゃんの天国と地獄 その7

 思うに、はっぱちゃんは蛸の足の成功で絶頂にまで登りつめたのでした。ものすごい期待をかけられて、大作に挑みましたが、それが思うような数値がなかなか得られません。はっぱちゃんとしては当然出るべき数値がでない、何日も悪戦苦闘してもいい結果が出ずに、ある日悪魔のささやきに負けてしまったようです。  この数字はこのように書けばいいぞ、後で…
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第106回 はっぱちゃんの天国と地獄 その6

 来たのは、失望と非難の声でした。日本ですべてを再測定したところ、図面上にもない個所の数値まで記入してあり、これは明らかにでたらめである。神聖であるべき測定値に嘘が織り交ぜられており、完全に失望し、信用できないとの返事でした。  そんな馬鹿な、私どもの品質管理部が保証して測定したもので、そんなことは有り得ないと思ったのでしたが、実…
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第105回 はっぱちゃんの天国と地獄 その5

 さすがに今度ばかりはそんな簡単にできませんでした。目視だけでもよさそうなものを作るだけで三日間もかかりました。そしてそれを測定するのですが、測定機には三次元測定機が使われます。  この測定機だけでも数百万円はするもので、もちろん日本製です。これ以外の測定機もいろいろありますが、すべてが日本の測定機でした。こんなところにも日本の精…
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第104回 はっぱちゃんの天国と地獄 その4

 再びはっぱちゃん、いや、はっぱ大先生の登場となります。  先に受注した3点の出来上がりが大変すばらしく、特に難問中の難問の蛸の足をものの見事解決したものですから、客先も相当に期待をしているのでした。前回は全然期待もなかったのですが、今度はものすごく期待されていると分かっていますので、はっぱ大先生は以前にも増して大変な意気込みでし…
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第103回 はっぱちゃんの天国と地獄 その3

 董事長、本当に注文を取りたいと思ったら、買うべきじゃないか。後1台プレス機があれば、万一故障したとしても、それで生産を続けることができ安心。私が必ず注文を出すといったら、出すから早く買って準備しておくこと。相手の説得にとうとう董事長も折れて、しぶしぶ買うと返事をしました。  ハンも私もその場におりましたので、この代理請負人の説得…
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第102回 はっぱちゃんの天国と地獄 その2

 後の2点の三角とドラゴンは全然問題ありませんでした。こうなると保留になっている後1点の大物です。これは3点がうまくいったら、我々に注文を出すというものでしたので、早速客先に打診をすることになりました。客先もまさかこんなに順調に出来上がるとは思ってもいませんでしたので、うれしい誤算となった訳です。もちろん、できたのだから、注文を出しても…
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第101回 はっぱちゃんの天国と地獄 その1

 今回は、はっぱちゃんが絶頂の極みから突然に奈落の底に突き落とされるというエピソードをご紹介します。考えてみたら、これなども人間の限りない欲望が原因しているのかもしれません。  さあ、待ちに待った新規の金型が受注できました。いよいよはっぱちゃんの登場です。今度こそはと汚名挽回に燃えていました。まず手始めに、愛称のついた、三角、ドラ…
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第100回 伝説的金型名人

 私はある人の紹介で思いがけずも、この順送型金型を日本で初めて作ったという伝説的な人に会うことができました。年はもうすでに70歳を越えており、小さくてひょろひょろして、今にも倒れてしまうのではないかと、見ていてもはらはらするくらいでした。ところが、後にその人の武勇伝を聞いて、唖然とするしかありませんでした。  今にも死んでしまいそ…
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第99回 順送型金型 

 大量生産をするとなると、単発型金型では限界があります。そこで考えられたのが順送型金型です。  これは、各工程を一台の金型上にひとまとめにしたもので、例えば、穴あけ、曲げ、打ち抜きなどの各工程が順番に配置されております。材料はコイル状に巻かれており、材料送り装置によって自動的に金型に送り込まれ、プレス機も連続稼動し、製品が次から次…
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第98回 単発型金型

 今回は金型について説明してみましょう。  董事長がおもしろいことを言っていました。金型というのはお金を次から次へと生み出すんだ。いい金型はいくらでも儲けさせてくれる。お金を作り出すから金型というんだ。なるほど、その通りかもしれません。私は今までプレスとか金型とかについてまったく知りませんでしたが、金型を知れば知るほど、おもしろい…
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